アメリカから家をまるごと輸入してでも知りたかった「快適な家」のつくり方

この頃

あまり耳にしなくなってしまった「太子講」という行事があります。

 

昔、私がこの仕事に就いた頃

毎年1月から2月にかけて

地域の大工さんや建築にかかわる職人さんたちが

聖徳太子に建築の仕事への

感謝と安全祈願のお祀りをしていました。

(まだ継続している地域があると思うのですが…)

 

当時、お世話になっていた大工の親方に尋ねたところ

「聖徳太子は俺たち大工の神様なんだ。

んだからこうして毎年お祀りしている。

この曲尺(かねじゃく)を発明した人も太子だったと

親方に教えられたなぁ。」と答えてくれました。

(曲尺の発明の真偽はわかりませんが、法隆寺が建立された時代に

大陸からの技術者が持ち込んだと何かの本で読んだことがあります。)

 

「へぇ~ 聖徳太子は

大工さんの神様だったのか…」

 

聖徳太子ゆかりの法隆寺から始まり、

全国の寺社仏閣建築へと広がって

今日の日本の住宅建築の礎となったという

在来軸組工法の長い歴史を知るきっかけでした。

 

それ以降、在来軸組工法は1400年の歴史を持つ

世界で一番優れた住宅建築工法なのだ。

ツーバイ工法とかいう、わずか100年余りの歴史しかない工法などより、

よほど優れているのだとずっとそう思っておりました。

 

アメリカ視察で気付いた「快適に暮らす家」


しかし、ある時から「すこし違うぞ…」と思うようになってきたのです。

なぜなら、これまでの日本の「家」は住む人の命と財産を守る箱でしたが、

「快適に過ごす」という

もう一つの大事な要素が欠落していると気づいたからです。

 

実は私は30年前に4度ほどアメリカへ行ったことがあります。

住宅研修という仕事がらみの短いツアーばかりでしたが

その都度アメリカという国の力と快適な住宅の環境に

たいへん驚かされて帰ってきました。

特にアメリカ北部に建つ家の中の暖かさは、

残念ながら日本の家とは比較にならないと痛感しました。

 

僅か100年の間に

1400年の歴史を持つ日本の家が追い越されてしまったのです。

 

徒然草の一文に

「日本の家は夏を旨とすべし

(冬は厚着をすれば我慢できる…という意味らしい)」とあるように

「快適に暮らす家」という観点からすれば、

日本の家は(確かに材木や大工の腕は立派だったかもしれませんが)

お世辞にも快適とは言えなかったと思います。

 

 

ちょうどその頃に流行った

「ホームアローン」という映画を覚えていらっしゃるでしょうか?

映画の中で

外には雪が降り積もり

おそらく外気温がマイナス5~6℃という環境の中

家族旅行に忘れられた小学低学年くらいの少年が

たった一人Tシャツ1枚で快適に家の中で過ごしているという映像は、

映画の内容は別として当時の私はとても大きな興味を覚えました。

まさしく

私が見てきたアメリカの家そのものだったのです。

 

国力の違いとは言え

一体どんな断熱材やサッシを使い

どのように施工すれば

あのような快適な家を作れるのだろうか?

 

あれこれ考えたり、勉強したり

北海道の住宅を見に行ったりしたのですが

 

結果として私はアメリカ北部コンコード地方のある住宅メーカーの家を

まるごと輸入して近くの町に建ててしまいました。

(1ドル=80円台という超円高の時代だったからこそ

出来たのだと思いますが。)

 

 

日本とアメリカの違いから見えた最適な工法とは


2×6(ツーバイシックス)の

断熱材の厚さ140㎜、3枚ガラス仕様の樹脂サッシという

約20年前の当時とすれば、最高性能の高断熱住宅でした。

 

私はこの輸入住宅を作る工程において、

毎日のように現場に通いたくさんのことを学びました。

 

2×6(ツーバイシックス)の良いところは

強さ、合理性、断熱性能です。

 

また

ツーバイの欠点や懸念も見えてきました。

一つは、家族構成の変化等によりリフォームの必要性が生じた時

構造上、開口を開けたり間取りを変えることが困難であるということ。

次に、構造に使用するSPF(スプルス、パイン、モミ)という材種や

OSB合板(薄く剥いだ木片を張り合わせた膨張率の高い合板)が

日本の高温多湿の気候風土に合うのだろうか?ということでした。

 

 

この懸念は10数年後に的中してしまいました。

 

当時の状況を説明しますと、

アメリカの外壁材がこちらの気候に合わなかったことと

震災の揺れのせいでシーリングに亀裂が入り

そこから雨水が躯体に侵入してしまい

水を含んでしまった構造用面材のOSB合板の一部が

情けないほどふにゃふにゃ状態になってしまったのです。

 

 

こうした経験から

在来軸組工法とツーバイ工法のメリット、デメリットを鑑みて、

私はようやくここで

やはり日本に建てる木の家は

日本の気候風土に合った在来木軸工法が良い。

(できれば、ヒノキや杉をふんだんに使った構造材で)

 

ただし、

ツーバイのように強く、断熱性能が優れ、

半世紀後のリフォームにも構造的にはなんら問題がない

“進化した在来木軸工法の快適な家”でなければならないという結論に達した訳なのです。

 

加えて構造材は法隆寺の如く

常に生きた空気と共にある工法でなければならないと考えます。

 

※以前のブログに書いた文章です

(問題は、室温20~25℃、湿度50%という

現代人が求める快適な住環境の中で、外気温との温度差で発生する

結露による厄介なカビや腐朽菌から如何にして人と家を守るか、

ということなんですね。)

 

ですから逆の意味で

在来軸組の良さを取り入れた進化したツーバイ工法も

 

もし あるならば

 

私は大いに認めようと思うのです。